作品設置(installation)という語と、行為(action)という概念を融合した造語。静的な状態と動的な状況が共存している。あるいは、空間と時間が表裏一体となっていることを表すのにしっくりくる言葉と言ってもよいかもしれない。
美術的な文脈では、単なる「もの」としての作品制作にとどまるのではなく、「こと」をつくる、という観点から、「作者の身体+行為→ 制作プロセス=作品 ←鑑賞者の身体・眼差し」という構造を総合的にとらえるのに的確な感じがするので、私が好んで使うようになった。他に使っている日本の美術関係者は今のところよく知らない。日本語で良い言葉が見つかると良いと思っているが‥。
当然、日本ではあまりなじみのない用語だが、時折、IT関係の文脈で眼にする事がある。しかし、どのような意味で用いられているのかはよくわからない。私自身は、友人でアイルランド出身、ウェールズ在住のパフォーマンスアーティスト、アンドレ・スティットが、自分のアーティストラン・スペースの特質に対し命名した言葉から借用させてもらった。彼がそのスペースを開いた時の案内に、この言葉を発見したのがきっかけである。 (2005)
注)「命令」や「指令」を意味する、インストラクション(instruction)と混同されることがある。