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Between ECO & EGO
〈展覧会に向けての事前のコメント〉
ーエコとエゴのはざまで展 (2004)
「ここ」は、唯一のかけがえのない場所であり、かつ世界のあらゆる場所とつながっているかも知れない。「今」は、唯一のかけがえのない瞬間であり、かつ過去や未来のあらゆる時間とつながっているかもしれない。私のパフォーマンスはこの美しい仮想を元にしながら、一人一人の人間の「脳」が生み出す無数の想念が、私たちが生息する「環境」を次々に変容していってしまうという、際どい現実も改めて突きつけることになるでしょう。
〈展覧会後のコメント〉
今まで世界の様々な都市を歩いてきて、直感したことがある。「私は、人間の脳の中を歩いているのではないだろうか?」 世界中の都市のあらゆる構造には、そこに住む(住んだ)人々の、無意識を含む集合された想念のようなものが反映されている。都市を見る、あるいは歩くということは、とりもなおさず、人間そのものを仔細に観察することなのだという、至極当たり前の事にあらためて気づく。
川口での観察と体験は、「その時・そこだけ」で閉じられはしないだろう。それは人々の脳内に蓄積し、不確実ながらも「いつか・どこか」へつながるものであるはずだ。不確実という事を恐れる必要はない。それは人間の意思と行動によって可変する、未来への希望でもあるのだから。
〈2回のパフォーマンスのコンセプト〉
2004.5.29 (1) かつての鋳物工場の跡地にて
『空と地面/垂直軸での行為とまなざしの移動』
その場の記憶や特徴に関わるいくつかの問いを観客に投げかける。各々の脳裏に浮かんだ答えは、空へと放たれる。
2004.6.19 (2) 廃棄物のストックヤードにて
『道と川/水平軸での行為とまなざしの移動』
廃棄物の焼却残さ「スラグ」を撒きながら、街の形成と破壊を象徴する行為を交互に行う。
"Between ECO & EGO 2004"展 カタログより 2005.4月発行