MARUYAMA Tokio
2001
境界のリプロダクション  前橋芸術会館 前橋
「部屋」の内−外から  From inside and outside of the
Room

ビデオ、鏡、煤、コンクリート粉、ドクロ、水、写真、ラジオ音声など
元消防署の建物内でのインスタレーション。二部屋を用い、その間の壁に穴を穿つ。片方の部屋から穴を覗くと、火の映像と壁を穿つ音が絶えまなく流れる。壁には煤(スス)がつき、焦臭い匂いが鼻をつく。給湯用の湯沸かし器のホースの先端には小さな椅子のオブジェを設置され、水道の蛇口からは水が滴り落ちる。穴が穿たれた壁の向いの壁には鏡とドクロが設置される。

境界としての「部屋」。
それは、内部空間としての身体と、外部空間としての都市をつなぐ。
身体は脳へ、都市は地球へと、さらにつながる。
脳と地球のネットワークを結ぶエネルギーの通過場でもある「部屋」。
その「部屋」は、かつての消防署の中の小さな一室。
そこには、壁を穿つ音と視線(まなざし)が往還する。
そして、椅子も、火も、水も…、それらは消防士か、あなた自身の身体、
あるいは、前橋という都市そのものにまつわるエネルギーの記憶(痕跡)としてそこに現れる。

境界を問題にするには、「視ること」と「移動すること」を学ばなければならない。
そして、自らのポジショニングを簡単に固定化しない。
境界とは、そうした時におぼろげに立ち現れてくる。

しかし、それは価値観の相対主義に絡みとられてしまうことではない。
近年の資本主義グローバリズムがないがしろにしてきた、
多様な価値の破片(痕跡)を、一種、相対主義的なやり方で丹念に拾い集め、
逆に、ある不変を知るために必要なことなのだ。
(2001.11月 展示室掲示のコメントより)


パフォーマンス ー地を叩く
署内にあった市内地図、ハンマー、煤、土、椅子、ロープなど



Home      Copyright (c) MARUYAMA Tokio. All rights reserved.